商売道具って何ですか?

カメラマンから見た「道具」事情

かなり前ですが、調律師として会社員だった時に新規のお客様から調律依頼を頂いて伺った時の話。

 

そのお宅は毎年きちんと調律をされていて、記録カードに記された技術者名も私が知っている人でした。

料金も同じだし、ちょっと不思議に思ってお客様に質問して見たのです。

 

「なぜ、今回は我が社にご依頼頂けたのでしょうか?」

 

「前の方はとてもよくしてくれる人だったのですが、扱いが雑だったのですよ」

 

「ピアノの扱いがですか?」

 

「いいえ、ピアノは丁寧でした。ただ、自分の道具を雑に扱う人だったんです

 

「例えば?」

 

「何か修理とか調整とかで使い終えた道具を、ポンとカバンに投げ入れるのですよ。その音に驚きました」

 

「あぁ… いるかもしれませんね」

 

「とまるさんはカバンの中がとてもスッキリしていて整理されていますね」

 

「あぁ・・・上司がうるさく言うもので(笑)」

 

 

お客様は見ていないようで、しっかりと見ているのです。

 

前の調律師は自分が道具を雑に扱ったことでお客を失ったとは思っていないでしょう。

 

でも技術者として自分の商売道具を雑に扱うことは許されることではありません。

 

 

 

私が嫌いなスポーツ選手

 

同じことがスポーツ選手にも言えます。特に野球選手。

 

思うような投球ができずに交代を告げられベンチに引き下がるや、グローブをベンチに叩きつける。

 

チャンスで凡打に終わり、バットやヘルメットを投げつける。

 

テニス選手も同様にイライラが募ってコートにラケットを叩きつける。

 

有り得ませんよね。それを子供たちも見ているのです。

 

ところが一流選手と言われる人はそう言うところも一流です。

 

イチロー選手・松井選手、時代を遡れば衣笠選手や王選手もそうでした。

 

どんなに敬遠されても、ビーンボールを受けてもそうした感情を表に出すことはしませんでした。

 

特にイチロー選手は道具に対する敬愛の念を他のどの選手よりも注いでいます。

 

当然と言えば当然です。それでお金を稼いでいるのですから。

 

 

ピアニストや音楽教室の先生は?

 

先日、とある音楽教室のウエブサイト用の撮影に出かけました。

 

それなりに広くてグランドピアノでレッスンされているお教室でした。

 

撮影ということもあってか綺麗に整頓されていましたが気になることがありました。

 

ピアノの大屋根の上に楽譜や文房具まで置かれていたのです。

 

「楽譜程度は。。。」

 

と思う人もいるかもしれません。

 

でも考えて見てください。

 

バイオリンや管楽器の上に楽譜を積み上げますか?

 

 

私が高校生の時、吹奏楽部の顧問がとても厳しく指導しました。

 

ピアノの上に楽譜を起き、フルートやクラリネットが置かれていたのです。

 

それを見た顧問は

 

 

「ピアノもフルートやクラリネットと同じ『楽器』なんだぞ!」

 

当然です。

 

私だって自分のカメラの上に何か置かれたら怒ります。

 

皆さんだって、そうでしょ?

 

でも意外とピアニストやレスナーには多い現実です。

 

もう一度、自分の大切な「道具」について考えて見てください。

 

それを見る子供たちが真似をするということを忘れないでください。

 

 

ピアノは「物置」ではないのです!

 

それで私は、そのお教室の撮影前に先生に一言。

 

「これはピアノにとって良い状態ではありませんよ。このままを写真にしてサイトに載せ、それを見た人の中には良い気持ちにならない人だっているかもしれません。少なくとも私ならそうした人を信用しませんね。」

 

 

先生は慌ててピアノの上から全てをどかしましたが、もしかしたら「細かいことにウルサイ人だな」と煩わしく思ったかもしれません。でもそれは事実だということをまだ知らないのですよ。それで入会をやめる判断材料になったとしたら残念だと思いませんか?

 

 

OPA312 とまるおさむ
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